あと数時間で平成最後の2019年になりますが、『クリエィティブ』という括りで、今年2018年に自分が特に印象に残った映画や本などを自分の備忘録として残しておきます。(暫く書いてないので、ちょっと駆け込み感もありますが、、笑)
『カメラを止めるな!』
http://kametome.net/index.html
もう説明不要ですね、、笑。
ずっと気になってたのですが観れないまま、最近やっと海外出張の機内で観れました。評判どおり、とてもよくできた映画で、また誰が観ても楽しめる一級の作品でした。結局、機内で4回観ましたが(笑)、個人的にはシンゴジラ以来のヒットでした。全く無名の監督に役者さん達でしたが、出演者皆から映画が好き、という熱い思いが伝わってきました。ちなみに、週刊誌で知ったのですが出演者は監督も含めて、製作主体の会社にワークショップとして十数万の受講料を払って参加しているそうです。
一番ショックだったのは、周りの人に聞いても、誰一人として観てないし、そもそも知らないという人が殆どだったことでしょうか。。(笑)
『泳ぎすぎた夜』
この映画は、渋谷のイメージフォーラムで単館上映メインだったから知っている人も観た人も殆どいないのでは?
これも出演者は全く無名の方ばかりで主役は弘前のショッピングモールでスカウトしたズブの素人の6歳の子供!!笑。もちろんこれは監督の意図なのですが、どこまでが演技で、どこからがアドリブなのかがとても曖昧で、映画表現としての新しさがある印象的な佳作でした。
『行こう、どこにもなかった方法で』
扇風機 グリーンファンやトースターがヒットしたデザイン家電バルミューダの寺尾玄さんの自伝です。幼少期の話から、プロデビューしてミュージシャンになった彼が、バンド解散後に全く自分の経験外のデザイン家電会社を立ち上げて成功するまでの顛末が書かれています。成功直前は現金が150円だけになり(多少の誇張もあると思いますが、笑)ギリギリからの大ヒットだったそう。
実は自分も、過去に同じようにプロダクトデザインの方向を模索していた時期があり、色々と共感できる部分も多く参考になりました。折をみて子供にも読ませようかな、と考えています。
『みみずくは黄昏に旅立つ』
村上春樹さんに、同じく作家の川上映未子さんが訊き手で行われた『インタビュー』。職業作家が同じ作家に対して行うインタビューなので内容も深いです。
少し大袈裟ですが、ページを捲るたびに新しい発見があるというか、、、自分が結構長いこと疑問だったことに答えてくれています。村上春樹さんはこの10年くらい、かなり意識して自分の手法をつまびらかにしていますね。2010年の『考える人』のロングインタビュー、2015年の『職業としての小説家』、今回の本と興味深く読んでいます。
村上春樹さんが小説を書くうえで、何よりもリズムを一番大切にしている、とかとても参考になりますね。。
それでは皆さま、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
m(_ _)m
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追記(2019/1/13)
今日、まだ上映を続けている渋谷のミニシアター UPLINKで『カメラを止めるな!』をやっと観てきました。数年前に映画はやっぱり映画館でちゃんと見ようと決めたのですが(笑)、何度見てもやっぱり面白いし、細かいところまで気を配って丁寧に作られており、改めて良くできているなと唸ります。
最初に見たときから役者さんと設定のキャラがぴったりとハマっていて、これはもしかしたら、と思って今日パンフレット買ってみたところ、やっぱり上田慎一郎監督は『当て書き』していました。つまり先に役者さんを選んで、役者さんたちそれぞれの個性を掴んでから、その人のキャラクターに合ったシナリオを書いています。当然リスクもあり手間も掛かる高度な手法だと思いますが、出来た映画の演技の自然さは今までの邦画にはない格別なものになっています。
『カメラを止めるな!』と『泳ぎすぎた夜に』。
それぞれ、かたや意表をつくゾンビ映画で、かたや弘前が舞台の詩的な映画で、両者は全く趣が異なりますが、直感的に感じた通り、やはりどちらも『現実』と『創作』の境界を曖昧にすることで、それが映画に魔法のように作用しているのだと考えています。
ちなみに同世代の友人が皆オススメするので、『ボヘミアン・ラプソディ』も観てきました。僕もクイーンは大好きだし、フレディが亡くなった後に『友達』だったフレディの彼の手記も何かで読みました。とても良くできた伝記映画です。圧巻のラストのライブエイドの巨大スタジアムはセットで作ったそう。
ただし、この映画自体に何か今までにない新しさやチャレンジングな試みがあるかというと、それは無いですね。もちろん何を映画に求めるかは人それぞれですが、ここにあるのは主に過去への郷愁でしょうか。もちろんクイーンを知らなかった若い人がこれを観て興味を持つこともあると思います。僕は映画に限らず、どんなジャンルでもやっぱり、自分の性分として、何かしら新しい挑戦があるもの(=クリエィティブ)が好きなんだな、と改めて確認できました。
最後に『カメラを止めるな!』の冒頭のシーンの印象的なセリフから、(劇中で監督が自分の意図する演技が出来ない女優に対して言うセリフです。)
『本物をくれよ!恐怖に染まった本物の顔、顔、顔、』
『なんで嘘になるか教えてやろうか?お前の人生が嘘ばっかりだから!嘘ついてばーっかりだから!』
このセリフにおそらく上田監督の映画や演技に対する考えが端的に表れているとともに、地頭のいい監督だなと感心します。さらにこのセリフは他山の石ですね。自分も身につまされました。。笑。